ダイレクトドライブ(DD)ロボットは従来使われてきた柔軟でがたが存在する減速機を廃して関節を直接駆動することにより、正確な制御が実現できる。しかしその反面、パラメータの変動が大きいため安定な制御が難しいという問題が存在する。そこでここではロバスト制御と適応制御を組み合わせることでDDロボットの安定で高性能な制御を実現し、位置と力のハイブリッド制御の実験で提案する方法の検証をすることを目標とした。 われわれが開発した外乱オブザーバを用いたロバスト制御法は従来のロボットの制御よりも良い性能が得られたが、ロボットのように姿勢によって慣性が大きく変動するような場合には不安定な応答となることがわかった。この不安定性を回避するには大まかな慣性の値を知っていれば良く、慣性の値を同定し、制御パラメータを適応的に変化させれば不安定になることはない。そこで外乱オブザーバを用いたロバスト制御に適応制御を加えることで広いパラメータ変動に対して安定な制御を実現した。 さらにロボットの制御では逆運動学で慣性行列を計算しなければならないが、計算量が多いため一定の値とすることを考えた。しかし、姿勢の大きな変化によって実際の慣性行列が大きく変化し、不安定となることがわかった。そこで制御ループの数回に1回毎に慣性行列の更新を行うことで、計算量が少なく性能的にも十分な実験結果となった。この方法はロボットの自由度が大きくなるほど計算量の低減の効果が大きい。
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