研究概要 |
自然界には,熱の拡散,温度,流量,圧力などの時間的変化は一階の微分方程式)で表せるが,力学系では,これらの現象と違って,ニュートンの定理により,その動特性は二階の微分方程式で表す必要がある.しかし,現代制御理論では,あらゆる制御対象(力学系も含めて)のモデルもすべて状態方程式に書き直して,それに対して制御器を設計している.このような方法は,力学系固有の特徴を失うだけでなく,制御系設計が数値計算によるので,信頼性や計算コストなどの面から望ましいものではない.本研究では,力学系の動的モデル状態方程式に変換せず,二階のまま取り扱い,その特徴を保存した制御系設計を提案し,以下のような研究結果を得ている. 1,理論的研究結果:二階の微分方程式で表される対称力学系に対して,制御器としては,従来と違って,やはり二階の微分方程式系を考える.そして,制御器に含まれる設計パラメータをある条件を満たすように選べば,閉ループ制御系がいかなる対象の物理パラメータ変動に対しても常にロバスト安定となることを証明した. 2,実験的研究結果:本研究の立場に立って,典型的な線形力学系であるフレキシブル構造物や.フレキシブルマニピュレータの制御問題を考えた.特にフレキシブルアームの先端負荷変動がある場合にいかに制御性能を保つようフィードバックゲインの調整の仕方や,センサ出力だけを用いてフレキシブルマニピュレータの高速位置決めと振動制御に関する研究を行ってきた.一連の実験を通じて,提案した設計法の有効性が確認された. 以上の結果は,計測自動制御学会,日本機械学会,日本ロボット学会などの論文集(会誌)に掲載されている.
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