研究概要 |
本研究では,複数の移動ロボットが互いに観測した情報を相互に利用することで,行動のために必要な情報を効率的に獲得する方法を確立する.具体的には,研究代表者が考案した円錐ミラーを用いた全方位視覚センサ搭載の2台の移動ロボットが,互いの観測情報(物体の方位情報)を協調利用し,移動環境内を自由に移動する未知物体を発見,これらの位置,運動を推定し,簡単な実環境内で有効性の評価を行った. ロボットおよび物体が共に運動してる場合,単眼視では位置,運動情報の獲得は困難である.そこで2台のロボットの観測情報から未知物体を検出,その位置と運動の情報を獲得した.時系列間での観測方位角の変化は,ロボットと物体間の相対運動の方向を現わすと言う幾何学的性質を持つ.そこでロボットの運動方位と異なる成分を持つ観測点は,移動物体と判断できる.この性質を利用することで未知移動物体の検出を行った. 検出された未知物体に対し,2台のロボットで方位角を観測し,時系列間での移動軌跡を各々のロボットで求める.ロボットの移動量はエンコーダなどの内界センサから既知で,かつ2台のロボットが異なった運動をしている場合,対象物体の位置及び運動情報は獲得することができる.そこで,この性質を利用し,2台ロボット間の位置関係の情報なしに,未知物体の運動を推定した. 実環境で実験を行った結果,推定された移動物体の運動及び位置精度は,各々0.5cm及び4cmであった.ロボットを誘導する上では十分な精度と言える.今後は,より実際的な環境(複数の未知物体あが混在する環境)において,実時間で上記の処理を行う予定である.
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