研究概要 |
本研究では,幾何学的・力学的相似則を満足する鉄筋コンクリート杭を作成し,遠心力載荷装置を用いた単杭と2本群杭模型実験を実施し,杭体と地盤が破壊に至るまでの水平抵抗挙動と,周辺地盤の変形特性を明かにした。さらに,従来の設計法を拡張した簡便法と共に3次元弾塑性有限要素法を開発し,終局限界状態挙動の解析法を検討した。 1.場所打コンクリート杭の遠心載荷実験 (1)直径2.5cmの鉄筋コンクリート杭を作成し,50gの遠心加速度の基で水平載荷試験を実施し,杭体と地盤が破壊に至るまでの挙動を把握した。その結果,杭頭変位量が杭径の15%付近で終局状態となり,杭体の最大曲げモーメント,クッラクの発生位置および地盤反力分布を確認した。 (2)前面がガラス板の半断面土槽で,色砂法と寒天膜法により杭周辺地盤の変位状況を検討し,杭前面の受働領域と杭背面の主働領域の存在を大まかであるが確認した。 (3)単杭と直列2本群杭の比較により,大変形時の群杭効果と各杭に作用する水平荷重の分担割合および曲げモーメント分布の相違を把握した。 2.数値解析手法の開発 (1)地盤を地盤反力係数k値を用いたバイリニアモデルとし,杭体の剛性低下をトリリニアモデルで近似した簡便な骨組構造解析を開発し,現在までに実施された現場載荷試験に適用し実験結果を定量的に説明可能であることを示した。また各種ケーススタディーによって,限界状態設計法の方向付けを行った。 (2)水平力を受ける杭の変形パターンを表現するためには,最終的には3次元効果を考慮する必要があり,複雑な弾塑性構成式を組込だ3次元有限要素法を作成し,上記現場載荷試験結果を解析した。杭体の非線形特性を適切に表現できるモデルの必要性を示した。今後は1.の遠心模型実験結果を本手法で精力的に解析し,限界状態設計法への基礎資料とする必要がある。
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