研究概要 |
本研究では、正規圧密粘土の塑性ひずみ増分ベクトル方向(降伏曲線の形に等価)の応力径路依存性を調べるため,2種類の逆解析手法を提案して三軸試験データに適用している.すなわち,三軸試験をエレメント試験と見なした場合の逆解析(エレメント試験解析と呼ぶ)と境界条件を問題にする三軸試験をモデル試験と見なした場合の逆解析(モデル試験解析と呼ぶ)を行っている.モデル試験解析では端面拘束の影響を有限要素法で評価することで除去することができる.いずれの提案手法も,1回の三軸試験を行うだけで,塑性ひずみ増分ベクトル方向だけでなく,せん断に関わるすべての弾塑性パラメータを一斉に検出ことが可能である. エレメント試験解析でも十分に精度のよい結果が得られるが,モデル試験解析を行えば,さらに精度のよい結果が得られることがわかっている.Bishop,Henkelの実施したWeald clayの三軸試験データにエレメント試験解析を適用した結果,拘束圧一定排水試験と拘束圧一定非排水試験とで,塑性ひずみ増分ベクトル方向が顕著に異なっていることが判明した.しかし今回,練り返して再圧密した藤の森粘土の三軸試験データにモデル試験解析を試みた結果,逆算された塑性ひずみ増分ベクトル方向への応力径路依存性はそれほど大きなものではなかった.さらに実験を行って調査する必要がある.
|