河川・海洋の透過性構造物中の流体運動をマクロの観たときの構成方程式に関する基礎研究を次の2点に着目して行った。 (1)海洋の透過性構造物と波の干渉を調べる。 (2)一様流が透過性構造物を過ぎるとき、その境界面の平均流の構成方程式を実験的に調べる。 (1)に関しては、まず非定常透水実験を行い抵抗則の周波数依存性を広範囲のレイノルズ数域(Re=1〜10000)で調べ、理論的に予測した構成方程式(複素非線形微分方程式)を具体的に決定した。次いで、その構成方程式を使って透過性構造物による水面波の反射および減衰を解析し実験と比較した。その結果、長波に関しては本方法で波の反射および減衰の予測可能であるが、長波からずれるにしたがって構造物境界の効果、すなわち剪断流と構造物の干渉を含めたモデル化が必要であることが判明した。 (2)に関しては、河川の植生境界に発生する渦および植生内部の水面波との関係を解明するために、まず多孔体内部の剪断流によって励起される圧力勾配を実験的に調べた。植生内部の平均水位を上昇させ、水位変動を維持するメカニズムはこの圧力勾配であると考えられる。現在、このモデル化について検討中である。
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