1)アスファルト散水の野外実験 1993年8月13日、新潟県長岡市市街に於て、本来冬期に用いられる道路埋設の消雪パイプを用いてアルファルト散水実験を行った。その結果、1)散水により明確な気温・湿度の変化が生じること、2)地下水の熱の移流効果が大きいことにより湿度の上昇が抑えられ不快指数も低下すること、3)路面温度の上昇を抑え熱環境の緩和に有効に機能することなどが明かとなった。 2)大気-アスファルト結合の鉛直一次元数値モデルによる散水効果の検証 大気-土壌結合系の3次元水文気象モデル(神田他1991)を鉛直一次元で使用し、上記実験で得られた物性値を入力パラメーターとして散水効果の検証を行った。その結果、野外実測で得られたアスファルトの効果を再現すると同時に、物理パラメータを変えた数値実験により好ましい散水の時間間隔や量について新しい知見を得ることができた。 3)人間熱収支モデルによる気候緩和効果の定量化 経験的な温熱指標である不快指数に代わり、各種微気象の観測データから屋外の暑熱環境下にある人間にかかる熱負加量の理論的導出を行った。長岡の散水実験の解析結果より、道路上にたたずむ人間の受ける熱負荷が散水により大きく低減されることがわかった。また、散水に伴うコストと気候緩和に伴うエネルギー節約量について考察を行った。
|