生物活性炭流動床(BACFB)プロセスを用いて、通常の生物処理プロセスでは十分に除去できない難分解性有機物を多量に含む埋立地浸出水の生物処理を試みた。水理学的滞留時間(HRT)をパラメータとして変動させ、定常状態時の溶存有機炭素(DOC)除去率、浸出水及び処理水有機物の分子量分布、吸着特性、腐植物質含有量について検討した。加えて、オゾン前処理した浸出水をBACFBプロセスにより処理し、オゾン前処理がDOC除去特性に与える影響について検討した。 定常状態DOC除去率は、HRTを24hから96hに増大すると、42%から57%に向上した。この除去率向上は主に浸出水中の低分子有機物の除去によることが判明し、低分子有機物は高分子有機物に比べ生分解性が高いと推察された。活性炭吸着実験により、活性炭は浸出水及び生物処理水中の低分子有機物を選択的に吸着することが明らかになった。低分子有機物の選択的除去を介して生分解と吸着現象が整合することは、吸着現象が難生分解性有機物を生分解除去するために必要な前提条件であることを示唆した。腐植物質は浸出水中のDOCの約30%を占め、約70%が除去された。HRTの影響は認められなかった。 オゾン酸化により浸出水の吸光度(UV260nm)は、接触時間に対して指数的に減少し、反してDOCは線形的に減少した。生物学的酸素要求量、BOD5はオゾン酸化により上昇したが、最大30mg/Lに制限された。オゾン酸化は芳香族性で不飽和結合を持つ浸出水有機物を脂肪族性で、UVを吸収しない、低分子の易生分解性有機物に変化させたと結論された。オゾン酸化は浸出水有機物の活性炭吸着能にも大きな影響を与えた。オゾン酸化後の浸出水の吸着能は著しく減少し、非吸着性で易生分解性有機物の増大をもたらした。オゾン前処理は、BACFBプロセスによる浸出水処理において非常に有効であることが確認された。HRT24hで、定常状態DOC除去率は42%から57%に向上した。
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