既往の実験的研究を整理して、内部柱梁接合部について載荷履歴の影響を目的に行っている研究が少ないこと、接合部の履歴性状には梁降伏時の接合部入力レベルの大きさが影響し、入力レベルがある程度大きい場合(剪断応力度が4√<sigmav>:sigmavはコンクリート圧縮強度)の場合には梁が降伏した後に繰り返し載荷によって接合部の剪断破壊が進むことが判った。 本実験では、接合部に取り付く梁の主筋量のみを操作して降伏時の接合部剪断入力量(剪断応力度)を接合部剪断亀裂発生耐力を基準に1.5倍、2倍(それぞれ柱軸応力度がsigmav/6の場合におおよそ4√<sigmav>、5√<sigmav>程度)とする試験体を2体ずつ製作し、単調載荷及び繰り返し載荷(剪断亀裂発生レベル、亀裂耐力の1.2倍、1.5倍、梁降伏レベルで各3サイクル)を与えた。 入力が剪断亀裂耐力の1.5倍の場合は単調載荷したものは梁の降伏が生じ接合部の剪断亀裂も拡幅したが梁の曲げ破壊で終局に至った。繰り返し載荷した試験体は梁主筋は降伏して耐力は梁の曲げ耐力で規制されたが、その後の剪断亀裂耐力を越える繰り返し載荷によって接合部剪断変形が顕著に増大し接合部の剪断破壊が生じた。入力が亀裂耐力の2倍の場合は単調載荷したものは梁主筋が降伏して耐力は梁の曲げ耐力で決まったが、全体の変形に占める接合部剪断変形の割合が増大し大変形時に耐力低下がみられた。繰り返し載荷したものは亀裂耐力の1.5倍での繰り返し時に接合部コアコンクリートの劣化が進み梁主筋の降伏前に接合部剪断破壊した。 接合部剪断亀裂耐力より大きな入力の繰り返し載荷が行われる時に接合部の挙動に影響を与えることが判った。従って、接合部剪断亀裂耐力を剪断入力の指標として考えるべきであると思われる。
|