研究概要 |
高強度材料を用いた超高層鉄筋コンクリート造建物の地震応答性状について,高強度材料を用いた鉄筋コンクリート造部材にも適用できる,復元力特性モデルを開発し,復元力特性の違いが地震応答に与える影響について検討した. まず,既往の高強度材料を用いた鉄筋コンクリート造部材の実験結果を整理し,その復元力特性モデルを開発した.高強度材料を用いた鉄筋コンクリート造部材の実験結果によれば,使用するコンクリート強度が大きくなると等価粘性減衰が小さくなる傾向がみられた.そこで,復元モデル(Takedaモデル)の除荷剛性性低下指数をコンクリート強度の関数としてモデル化した.そして,開発した復元力特性モデルを既往のフレーム用弾塑性地震応答解析プログラムに組み込んだ. 次に,建物の高さ(50m,100m,150m),用途(住宅,事務所)を変化させ,6種類の超高層鉄筋コンクリート造建物を設計した. そして,設計した建物の地震応答解析を行ない,復元力特性の違いが地震応答に与える影響について検討した.入力地震動としては,1940年Imperial Valley地震のEl-Centro NS成分,1968年の十勝沖地震の八戸港湾EW成分,1978年の宮城県沖地震の東北大学NS成分の3つを最大速度50kine,75kine,100kineに規準化して用いた.比較のため,従来の普通強度コンクリートの復元力モデルを用いた場合についても検討を行なった. その結果,コンクリートに高強度コンクリートを用いることによって復元力特性が変化する影響は,層間変形角,梁端の塑性率などの地震応答にさほど大きな影響を与えず,部材の強度および靭性能を普通強度コンクリートの場合と同様に確保すれば,特に問題がないことがわかった.
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