研究概要 |
本研究は、トルコのイスタンブールにあるハギア・ソフィア大聖堂を対象に設定し、特に本年度はハギア・ソフィア大聖堂とスレイマニエモスクのミナレットに注目して、1)文部省科学研究費国際学術研究学術調査により実施された常時微動測定結果の分析、2)コンクリート造および組積造の解析に不可欠な立体要素とシェル要素を用いた固有値解析、弾性地震応答解析プログラムの開発、3)結果の映像ぞう理を含む有限要素法による構造解析システムの構築、4)実測と図版に基づくミナレットの寸法関係の整理、5)数値解析モデルの設定、6)固有値解析によるレンガと石のヤング係数の同定、7)弾性地震応答解析を行った。以下にその成果を示す。 1.常時微動計測より、ハギア・ソフィア大聖堂南東部に位置するレンガ造ミナレットの固有振動数は1.00Hz、南西部に位置する石造ミナレットは1.25Hz、北東部に位置する石造ミナレットは1.00Hz、スレイマニエモスク南東部に位置する石造ミナレットは0.87Hz,北西部に位置する石造ミナレットは1.12Hzとそれぞれ測定でき、ミナレットの固有振動数は約1Hzであることをあきらかにした。 2.常時微動測定結果と有限要素法による固有値解析結果の比較より、目地(モルタル)を含むレンガと石のヤング係数はそれぞれコンクリートのヤング係数の約7.5分の1,約3.1分の1と推定できた。 3.弾性地震応答解析より、ミナレットにより破壊する位置が異なるものの崩壊最大加速alphaは中震に相当する20から31galにあることをあきらかにした。
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