都市のヒートアイランド化の抑制には、1)排熱の抑制、2)省エネルギー、3)ク-ルアイランドの増設などがある。本研究はク-ルアイランドの1つである植栽、水面の効果を考察している。 都市において植栽、水面の効果が現れる範囲は広いことが望まれる。しかし、それは一体として植えられる植栽域、水面域の面積に依存する。ここでは、街路樹の規模から児童公園、あるいは児童公園内の小規模な池などを想定している。 植栽、水面のク-ルアイランドの効果を評価するシミュレーションモデルを開発した。モデルは、3次元空間をメッシュに分割し、メッシュに大気、樹木、水、コンクリート・モルタルなどの物質を与え、それに対して熱伝導率などの諸物性値から、入射してくる太陽熱の伝導、拡散を評価するものである。 このモデルにより、中層建物間にある公園内の植栽・水面、中層建物間にある道路の街路樹のク-ルアイランド効果を評価した。これによれば、水面では大気の大きな対流現象が見られ、気温が低下することが示された。建物間距離の30%の水面でおよそ2度程度の低下である。植栽に関しては水面ほどク-ルアイランド効果は見られない。植栽の場合は、植物の蒸散による大気熱の吸収と、植栽下地面の日影効果による低温域がそのク-ルアイランド化を形成する。しかしながら、モデルによるシミュレーションでは蒸散効果の影響があまり影響せず、水面ほどの効果が見られなかったと考えられる。 蒸散効果について、現在多く街路樹として用いられている植物の他に、多様な植種についての評価を今後の課題としたい。それにより、街路樹としての生命力、手入れのしやすさ、都市景観などの側面なども勘案して、都市の中にヒートアイランドを多数設けられるための植種を提示したい。
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