研究概要 |
それぞれ廊下型とホール型の特徴を持つ2つの複合的な地域公共施設において探索行動実験(各施設6人,合計12人の被験者)を行い以下のような知見を得た。 1.案内板・方向板のない建築空間では、被験者の探索経路は多様なタイプになり,特にエントランス周辺部で停止・途中後戻り等の迷い行動が発生する。 2.エントランス周辺部での視認情報は,ホール・廊下等の空間的情報,ドア等の形態的情報,室名板のサイン情報などを総合的に入手している. 3.思考内容は,被験者によって相違があり,特に方向判断に関する思考について見れば,サイン情報を優先する思考,目的室確認でドアの数を優先する思考,目的室確認で類似室のゾーンを優先する思考,空間全体の把握を優先する思考等のタイプがあった. 4.案内板や方向板をなくした建築空間での迷い行動は,空間内の多種の情報を手がかりとするため被験者によっての相違が大きく,被験者の視認情報と思考内容との相互関係で説明される.傾向としては,空間の見通しの良い場所まで進んで,多くの情報を入手し総合的に判断した被験者の方が,適切な探索経路を選択しており,逆に限定された視認情報からの思考を基する被験者の場合,途中後戻りや回り道等が発生している.
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