研究概要 |
本研究は、高温で使用可能な酸化物導電性材料を熱電変換材料として応用するための基礎的な研究である。まず、高温で使用可能なゼ-ベック係数の測定装置を製作し、次に、電気伝導度測定装置の改良を行った。それに伴い、ゼ-ベック係数測定用のソフトウエア開発と測定手法の確立を行い、いくつかの既知の複酸化物によってその信頼性を確認した。また、電気伝導度の自動測定のためのソフトウエア開発を行った。これらの装置を用いて、初めに、ランタンと銅を含む複酸化物のゼ-ベック係数と電気伝導度を測定した。その結果、これらの物質の高い熱電性能指数を確認し、さらに、銅イオンの位置に亜鉛イオンを一部置換することにより、高温における電気伝導度がより金属的になり、低温において半導体的になることを明らかにした。また、亜鉛イオンによりバレンス付近の電子構造が変化していることも明らかとなった。次に、ランタンとニツケルを含む酸化物(La_2Nio_4)に対して、電気的測定を行なった所、ゼ-ベック係数は10〜30muV/Kの程度であまり大きくはなく、温度上昇に伴って上昇する傾向にあることがわかった。また、電気伝導度の測定により500℃付近で金属-絶縁体転移を起こし,この温度はニツケルイオンの位置に亜鉛イオンを置換しても、変化しない事が分かった。さらに、新化合物(Ca,Ce)_2Sn_2O_7および(Sr,Ce)_2Sn_2O_7の電気伝導度とゼ-ベック係数を測定した結果、これらの化合物がn型の電気伝導を示し、キャリアの生成がCeイオンの価数によって支配されている事を見出した。現在,以上の測定結果を踏まえて、ランタンとコバルトの複酸化物、インジウムを含む複酸化物について、熱電変換性能指数を検討している。
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