研究概要 |
単独ではガラスを形成しないが他の成分と組み合わせることによってガラスを形成する、酸化チタン及び酸化ガリウムを主成分とするアルカリガロチタン酸塩ガラスの電気的性質における混合アルカリ効果をNa_2O-K_2O-TiO_2-Ga_2O_3,Na_2O-Cs_2O-TiO_2-Ga_2O_3,K_2O-Cs_2O-TiO_2-Ga_2O_3系ガラスについて系統的に調べ、以下のことを明らかにした。 1.上記ガラス系においても、これまで研究が行われてきたケイ酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩等のいわゆる非シリケート系ガラスと同様に、電気伝導度及びその活性化エネルギーに混合アルカリ効果が観測された。このことから、混合アルカリ効果はガラス系によらない酸化物ガラスに一般的な現象であると考えられた。 2.混合アルカリ効果の尺度となる電気伝導度及び活性化エネルギーの加成性からのずれは、上記の非シリケート系ガラスと同程度であった。 3.本系ガラスの混合アルカリ効果は2種類のアルカリイオンのイオン半径の差が大きいほど増大した。すなわち、Na-Cs混合アルカリガラスが最も大きな伝導度の低下及び活性化エネルギーの増加を示し、K-Cs,Na-K系ガラスの順にこれらは減少した。 4.酸化物ガラスに共通してみられる混合アルカリ効果は、別種のアルカリを混合することによりアルカリイオンのサイトが歪み、エネルギーが増大するという観点から新しいモデルを考えた。今後、歪みエネルギーに加えて、静電エネルギーを考慮に入れたモデルを構築していく必要がある。
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