強靭性・軽量性を生かして航空機、宇宙機器などの先端技術産業を始め、非常に多くの分野で用いられているCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の構造評価にパワースペクトルをフーリエ変換したケフレンシー領域での解析を応用し、高分解能化が可能でることが分かった。詳細には、以下の通りである。 右図上段にCFRP試料(テフロンシートは疑似層間剥離である)と超音波トランスデューサの配置と超音波パルスの反射の様子を、同図中段には反射波の波形(時系列データ)を、同図下段にケフレンシ解析でも最も単純な自己相関を示した。中段では、CFRP底面とテフロンシート表面からの反射が両方観測され、その振幅は同じ程度であった。下段の自己相関では、あるケフレンシーで特徴的ピークを示している。中央の2つのピークは「CFRP試料の底面とテフロンシート上の表面」と「CFRP試料の底面とテフロンシートの下の表面」の間隔に対応しており、音速を考慮してテフロンシートの位置および厚さを計算することが出来る。更に自己相関の2次元イメージングを行って、ある深さに対応する欠陥像を複数得ることにより、3次元的構造評価が可能であった。また、パワースペクトルを測定系の特性関数で規格化することによって、より高いS/N比および高精度のデータを得ることができることも判明した。
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