研究概要 |
軽量耐熱材料あるいは生体用材料としてチタン合金の用途を広げるためには状態図等の基本的な情報を明らかにし,それに基づいて種々の実験を行う必要がある. そこで本研究では高純度Tiインゴットを主原料とし,それにAl,Ni,Zr,Nb,Taなどを含む合金を溶製し,それに必要な均質化熱処理を施したものを試料として以下に述べるような種々の実験を行った.いずれの実験でも,本研究で独自に構成した材料解析システムを中心とし、周辺に設置したX線回折装置,示差走査熱量測定装置,その他の機械的性質を調査する種々の試験機などから得た情報を総合的に評価した. 特に,これまで必ずしも十分明らかにされてはいなかった,Ti-Ni合金の相変態挙動について実用化の観点から検討し、応力下での相変態の抑制と活性化について新たな知見を得た.この変態挙動の変化は歯科におけるTi-Ni合金の臨床応用に際し,施術上きわめて重要な問題点となりうることを報告した.また,TiにAlを添加したTiAl基合金の組成と機械的性質の関係について詳細な検討を行った.いずれの合金についても構造解析,熱分析,機械的性質の試験,またはそれらを組み合わせた新しいタイプの試験などを広範に行っており,得られたデータを総合的に解析することが結果として新しい理解を得ることにつながっている.それらに加え,本材料解析システムのもうひとつの特徴であるデータベース的な情報処理能力を有効に活用し,多量のデータを処理する必要のあるTi合金の酸化試験も評価の対象とした.
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