研究概要 |
セラミックス繊維強化複合材料の組織制御(微細化・均一化・緻密化)を向上させるために液体金属を用いた一方向凝固法(LMC-DS Method)を適用して共晶組成のNi-NiO系セラミックス繊維強化複合材料以下,繊維強化材と呼ぶ)を作製した。そしてこの繊維強化材の高温クリープ特性を検討するために定常クリープ速度の応力ならびに温度による変化を873〜1173Kの温度域,21〜87MPaの応力域で純Ni材および粒子状のNiOがNi中に分散した分散強化材と対比させて調査した。得られた主な知見は次のとおりである。 1.液体金属を用いた一方向凝固法を適用することによって繊維間隔が2mumのセラミックス繊維強化複合材料を作製可能であることを明らかにした。 2.純Ni材,分散強化材および繊維強化材を同一条件で試験した場合,sigma/G<5×10^<-4>の低応力域では純Ni材,分散強化材,繊維強化材の順に定常クリープ速度は小さくなる。繊維強化材では,繊維間隔の減少につれて定常クリープ速度は減少した。すなわち,繊維状のNiOを緻密に配列させると,複合材料の高温クリープ特性を著しく向上させることができることが明らかとなった。 3.繊維強化材には通常の分散強化型合金と同様にしきい応力が存在した。このしきい応力を考慮すると繊維強化材のクリープ変形は次式で表すことができた。 epsilon_3=A{(sigma-sigma_<th>)/G}^<n′>exp(-Q′_c/RT) このとき,n'【similar or equal】5.0,Q_c'【similar or equal】300kj/mo1が得られ,繊維強化材は高温べき乗則クリープ変形に支配されていることが明らかになった。すなわち,繊維強化材中のNiO繊維は外部応力を直接負担するのではなく,通常の分散強化型合金中の分散粒子と同様に転位運動に対する障害物として作用することが 繊維強化材の定常クリープ速度epsilonは繊維間隔lambdaによって変化し,lambdaが小さくなるにつれてepsilonは減少した。この場合,定常クリープ速度の繊維間隔依存性はepsilon=clambda^<4.5>と表すことができた。ここで,cは定数で繊維間隔によって変化する。この関係はlambdaの減少にともなってしきい応力が増加することで説明することができた。
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