アルミニウム合金平板のプレス曲げ加工実験において以下のことが分かった。 1.加工荷重は、被加工材の降伏応力と対応するが、潤滑の状態により大きく変化する。 2.曲げ加工限界は、アルミニウム合金の種類により大きく変化し、質別が同じ程度の同一合金であれば、圧延材と押出し材とで差異がない。 3.同一条件の曲げ加工でも被加工材断面内の変形により、中立面位置が合金の種類により大きく変化し、製品に発生した長手方向ひずみも慣用の曲げひずみ式の値から大きくずれていた。 4.曲げ半径が大きい場合は、被加工材の破断伸びと加工限界は対応するが、曲げ半径が板厚の半分以下の場合は、合金の種類により変形様式が異なり破断伸びと加工限界との対応がない。 押出し形材のプレス曲げ実験結果と動的陽解法有限要素解析結果との比較検討により、以下のことが分かった。 1.割れが発生するのは、曲率が最大になる対称面であり、しわは、工具と接触している部分近傍にある自由面に発生する。 2.しわの発生する部分は、長手方向応力が圧縮から0へと変化する部分である。 3.故に、加工中の被加工材が変形している部分の長手方向応力が圧縮から0へと変化することがない曲げ加工が、しわの発生が少ない加工方法である。15EA10:4.プレス曲げにおいて、ポンチとダイスが被加工材に接触する部分近傍の自由曲面を中子などで拘束すればしわの発生が防ぐことができる。
|