充填層内の炭材、特にコ-クス粒子の燃焼過程における亜鉛化窒素(N_2Oの生成挙動について、小型燃焼試験装置および微量ガス生成測定装置を使用して検討した。N_2Oは、コ-クスの粒度が1mm程度以下と小さく、温度レベルの低い場合に発生するが、その濃度は空気組成条件下での燃焼の場合、最大数ppmであり、他の窒素酸化物(NO、NO_2)濃度の数十分の1であることが判明した。さらに、導入ガス中の水蒸気濃度の影響について検討した結果、ガス中の水蒸気濃度が0.8mol/m^3(温度20℃での相対湿度約60%)の条件で温度レベルが低い場合に、25ppm程度のN_2Oが発生した。 N_2Oは、CO_2の約250倍の温室効果を持つガス種であるが、本実験の様な条件下では温暖化に対してCO_2に匹敵する程の排出はないと考えられる。N_2Oは燃焼中のコ-クス粒子近傍で生成したNOの還元過程で生成すると考えられるため、NOのCOによる還元反応を固定相流通式の触媒能測定装置を使用して検討した。乾燥ガスにおける実験においては、ヘマタイトおよびカルシウムフェライトなど酸化鉄系物質が共存するとNOの還元速度が大幅に上昇することが分かったが、ほとんどが瞬時にN_2まで還元され、N_2Oとしては検出されなかった。以上、コ-クス粒子など雰囲気温度ならびに燃焼表面温度が比較的高温である場合、燃焼に伴うN_2Oの発生量は少ないことが分かった。
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