溶銅中シリカ介在物のスラグへの除去速度と初期全酸素濃度の関係に着目して、介在物の初期粒径分布と介在物除去速度の関係を詳細に検討することにより、攪拌浴中介在物の除去機構を明らかにした。 (1)機械的攪拌条件下では、 (i)初期全酸素濃度[mass%O]_<T0>の増加に伴って介在物除去速度定数k_Oが増大したことから、介在物初期粒径分布がk_Oに対して影響を及ぼしていると考えられる。 (ii)介在物の顕微鏡観察によると、初期介在物平均粒径r_0、及び初期粒子個数密度N_<V0>が大きいほどk_Oが大きい。これは、r_0とN_<V0>が大きいと介在物粒子の衝突頻度が大きく、介在物の平均粒径が増大することにより、浮上速度が増加するためである。 (iii)介在物粒子間の衝突速度の指標として新たに無次元初期介在物粒子間距離D_0/r_0を導入し、k_Oとの関係を調べた結果、D_0/r_0が小さいほどk_Oは大きくなる。 (2)ガス吹込み攪拌条件下では、 (i)k_Oは[mass%O]_<T0>によらずほぼ一定であり、また、k_Oは初期粒径分布によって変化しないことから、介在物の凝集はk_Oにはあまり影響を与えないといえる。 (ii)実験結果は、介在物の気泡表面への移動と気泡-メタル間の溶質の物質移動の相似性を仮定した除去モデルにより、合理的に説明できた。 (3)以上のことから、溶融Cu中SiO_2介在物の除去機構に対して、機械的攪拌条件下では、介在物粒子間の凝集が重要な役割を果たしており、ガス吹込み攪拌条件下では、介在物が気泡に付着してスラグ相へ除去されるという除去機構が重要な役割を果たしている。
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