MOCVD法を用いてSiあるいはPt基板上にPbTiO_3、SrTiO_3薄膜を合成した。有機金属の供給原料ガスとしてSr(DPM)_2、Pb(DPM)_2とTi(DPM)_2(iPr)_2を用い、酸素と混合させ加熱基板上に堆積させる。本研究では反応条件により膜構造(配向性、結晶粒径、膜厚)を変化させる手法の確立と膜構造と誘電率との関係を明らかにすることを目的とした。実験は基板温度600℃から750℃で蒸発器温度はPb原料130℃から165℃、Ti原料115℃から140℃、ガス流量はそれぞれPb(70sscm)、Ti(30sscm)、O2(200sscm)で行った。各成膜条件で得られたPbTiO_3膜の粒子径は膜厚の増加により大きくなるが同一温度では成膜速度に依存しない。これは2次核発生が少なく基板上の1次核の成長により膜構造が形成されるためと考えられる。また広い温度領域でPbTiO_3膜が作成でき、成膜温度を下げると結晶粒の形態が変化することが分かった。供給の際PbとTiの原料モル比をTi過剰にすると(110)、(101)面に配向した膜がPb過剰にすると(100)、(001)面に配向した膜が得られ、また、配向性は原料供給比を変化させることによりコントロールされる。誘電物性に関して、まずI-V測定測定の結果ではPbTiO_3薄膜は10^<10>〜10^<11>OMEGAcmの絶縁性であることがわかった。また誘電率の膜厚依存性を検討したところ、膜厚を4mumから1mumに薄くしていくにつれ200から100程度に減少し、基板との界面に低誘電率の層が存在することが示唆された。またCV測定においてヒステリシスが観測され、強誘電体酸化物薄膜が作成されていることが確認された。
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