現有のLPMOCVD装置に有機金属錯用の蒸発器が接続できるように改造した。また、成膜最適温度と推測される250°C前後で均熱温度分布を得る事ができるように反応炉の改造を行った。Cu金属膜原料として2種類のアセチルアセトナト錯体を購入し、現在最適蒸発温度の探索を行っている。 反応解析に必要なセミミクロ・マクロシミュレーションコードを改良した。マクロシミュレーションについては従来から単純な線形反応モデルに限らず、圧力及び逆反応等を考慮したシミュレーションを行う事ができるようにした。減圧反応条件下のCVDに限らず平均自由行程が短い常圧CVDにおいても実用的な速度で計算可能であるようにセミミクロシミュレーションコードのアルゴリズムの改良を行った。本コードの膜成長に選択成長アルゴリズムを導入するべく検討を行っている。 膜結晶化過程、反応解析を行うために分子動力法に基づくシミュレーションコードの開発を行った。手始めに、2体ポテンシャルモデルを採用し、従来から数件報告されているリチウムニオブ酸のMD計算を行った。温度変化による格子間距離、結晶系の変化をある程度まで説明できた。本研究のために購入したパーソナルコンピュータでこれらの結晶構造等の計算結果の視覚かを行うために、現在プログラムの開発を行っている。 今後、最適の蒸発温度を決定できしだい成膜実験をおこない、上記のマクロ・セミミクロシミュレーションコードによる反応解析、MD計算による結晶化過程の計算を行う予定である。
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