研究概要 |
1.リンゴ酸錯体法を用いることにより従来のクエン酸錯体法よりも、さらに簡単に、低温(550-650℃)で高表面積ペロブスカイト型酸化物が調製できることがわかった。電極基材の炭素材料としては、カーボンブラック、黒鉛、活性炭の中では、黒鉛が耐久性が優れており、カーボンブラックの電極性能が最も良かった。また、表面を黒鉛化したカーボンブラックであるケッチェンブラックが、特に優れた電極担体であることがわかった。 2.La系ペロブスカイト型酸化物のうち、La_<1-X>A′_XCo0_3系(A´=Sr,Ca,Ba)が、最も高い酸素還元活性と酸素発生活性を兼ね備えた高活性触媒であることがわかった。特に酸素還元活性は、Ptを添加したものの約2倍もの高電流密度が得られた。ただし、本触媒は、酸素還元時に劣化することが判明した。一方、La-Mn-0系,La-Fe-0系は、いずれも最も耐食性に優れていたが、前者は酸素還元活性のみが、後者は酸素発生活性のみが、優れていることがわかった。 3.新触媒の探索を行った結果、La_<1-X>A′_XMn_<1-y>Fe_y0_3(A´=Sr,Ca)は、耐食性および酸素還元、酸素発生の2元機能を備えた高性能な電極触媒であることを見出した。これらの高い活性は触媒の過酸化水素分解活性に起因し、特に、x=0.4,y=0.8のものが、最も優れていることが分かった。 4.上記で得られたLa-A´-Mn-Fe-0系の空気極と亜鉛極を組み合わせて、最大出力140mW/cm^2もの高出力亜鉛-空気電池が得られた。また、本電池は亜鉛-空気2次電池として十分使用可能であることがわかった。
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