研究課題/領域番号 |
05750751
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機工業化学
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
大柳 満之 龍谷大学, 理工学部, 助手 (30213888)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1993年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 燃焼合成 / ダイヤモンド / 炭化チタン / 複合材料 / 非平衡 |
研究概要 |
ダイヤモンドは、約1500℃の温度を超えると真空や不活性ガス下でも黒鉛に相変化することが知られている。従って、この条件下で難焼結性の炭化チタンのような非酸化物系セラミックスと複合・焼結することは、従来技術では極めて難しかった。一方、報告者の燃焼合成における一連の研究により、反応温度が瞬間的に約3000℃に達する炭素とチタンの燃焼反応体上にダイヤモンドを置いたとき、ダイヤモンドは黒鉛に相変化しないことが既に確かめられている。本研究の目的は、超高温への瞬間昇温と引き続く室温への急冷却の両過程をあわせもつ燃焼合成の非平衡条を利用してダイヤモンド包埋炭化チタン複合材料を瞬間焼結することである。 チタンと炭素からなる円盤状の圧粉混合体の上に直接、ダイヤモンド粉末を敷き詰め、圧媒に窒化ホウ素あるいは鋳物砂を用いた擬等方圧縮装置(Pseudo Isostatic Compaction:PIC)内で、圧粉体を着火して燃焼合成を行った。圧媒への動的圧力印加は、着火後発生する燃焼波が圧粉体を伝播し終わった直後に、自動圧縮装置により行う。PIC内に付属の高応答性の極細熱電対(W/Re系)を用いて、反応温度の昇温・冷却過程を追跡した。また、PIC装置の下に圧力検出器を置き、圧力印加・解放過程も同時測定した。熱電対と圧力変換器からの信号は、データを大量保存できる高速サンプリング型記録計に取り込み、制御コンピュータで昇温速度や圧力印加速度を測定・解析処理した。反応生成物は、X線回折・顕微ラマン分光装置により炭化チタン・ダイヤモンド相を非接触同定、SEMにより組織分析を行った。 炭化チタンマトリックスに包埋させるダイヤモンドの粒径が大変小さいときには、燃焼反応剤であるチタンとダイヤモンドが一部反応したが、約20-30mum以上の粒径では、ダイヤモンドは黒鉛化することなくマトリックスに固定できた。しかしPIC装置の圧力上限である100MPaでは、マトリックスである炭化チタンの完全緻密化とダイヤモンドと炭化チタンの良好な接合密着性は実現できなかった。少なくとも本研究では、燃焼合成法の特色である急熱・急冷の非平衡条件を活用することにより、従来法では極めて困難であった超高温でのダイヤモンドの黒鉛化は抑制することに成功した。現在、マトリックスとしてセラミックス-金属間化合物や-金属などを選定し、新たなるダイヤモンド複合材料の作成を計画している。
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