研究概要 |
酸化的脱硫フッ素化反応を複素芳香族基を有する化合物に適用した。 複素芳香族ジチオカルボン酸エステルは,フッ化水素-ピリジン錯体(HF-Py)と1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBH:pi-電子不足型複素芳香族基を有するジチオカルボン酸エステルの場合)あるいはN-ヨードコハク酸イミド(NIS:pi-電子過剰型複素芳香族基を有するジチオカルボン酸エステルの場合)で処理すると,対応するトリフルオロメチル置換複素芳香族化合物に良好な収率で変換できた。pi-電子不足型複素芳香族基を有するジチオカルボン酸エステルは,DBHの替わりにNISを用いると,中間体であるジフルオロ(アルキルチオ)メチル体を与えた。このジフルオロ体はDBH/HF-Py処理するとトリフルオロメチル体に変換できた。 O-(ヘテロアリール)-S-メチルジチオ炭酸エステルをNIS/HF-Py処理すると,ヘテロアリールジフルオロ(メチルチオ)メチルエーテルがえられた。これをさらにDBH/HF-Py処理してトリフルオロメチルエーテルを得た。 複素芳香族ジチオカルバミン酸エステルはDBH・二水素三フッ化テトラブチルアンモニウムと反応してトリフルオロメチルアミノ置換複素芳香族化合物を与えた。また,反応温度を制御することにより,複素環上に位置選択的に臭素を導入することもできる。この臭素を利用する遷移金属触媒によるアリール金属化合物とのクロスカップリングも進行し,液晶性化合物が得られた。
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