研究概要 |
1.光学活性な3-フェニル-3-(2-クロロフェニル)-1-プロピン-3-オールを合成し、塩化ロジウムノルボルナジエン錯体([RhCl(NBD)]_2)を用いて重合したところ、生成ポリマーのCDスペクトルにモノマーには見られない正のピークが長波長領域に存在し、このポリマーの二重結合がねじれた不斉な構造をとっている可能性が強いことが明らかになった。 2.不斉Diels-Alder反応を経由して得られた光学活性な(S,S)-トランス-2,3-ジカルボフェノキシノルボルネンを触媒にWCl_6-Ph_4Snを用いて重合し、光学活性ポリマーを得た。このポリマーを3-アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理したシリカゲルに坦持し、その光学分割能をHPLCで評価したところ、溶離液にヘキサン-2-プロパノール(9/1)を用いた場合、トランス-スチルベンオキシド、2,2^1-ジヒドロキシ-6,6^1-ジメチルビフェニルの部分分割が、エタノールを溶離液に用いた場合、トランス-シクロプロパンジカルボン酸ジアニリドの分割が可能であり、光学分割用キラル固定相として有効であることがわかった。 3.側鎖に光学活性なカルバメート基を有するフェニルアセチレン誘導体、(R)-(+)-[4-エチニルフェニル フェニルエチルカルバメート]を合成し、触媒に[RhCl(NBD)]_2を用いて重合し、光学活性ポリアセチレン誘導体を得た。ポリマーは、黄色の固体で、紫外-可視領域に吸収を有し、この領域に非常に強い誘起CDを示した。光学活性な側鎖の影響で、主鎖が一方向にねじれたらせん構造をとっている可能性が強いことが明らかになった。
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