これまで核酸の機能を安定な合成高分子に付与した核酸アナログ、特に水溶性核酸アナログについて一連の研究を行ってきた。 配列を有するアナログは相互作用の特異性の向上さらに核酸機能の基礎的な解明、最近注目されているアンチセンスRNA療法への応用等に不可欠である。本研究では親水性の高いヌクレオシドを側鎖に有するアミノ酸誘導体を合成した後、縮重合することによりオリゴマーさらにポリマーを合成し、得られた配列を制御した核酸アナログの構造さらにオリゴ・ポリヌクレオチドとの相互作用等について検討し、配列制御型核酸アナログの機能について明らかにする事が目的であるが、まずそのポリマーモデルとして高分子反応により、核酸塩基より親水性の高いヌクレオシドのポリアミノ酸誘導体を合成した。核酸類との相互作用検討には水溶性アナログの合成が不可欠であるため、ポリアミノ酸としてはこれまで用いてきたポリグルタミン酸のL-およびD-体を用い、ヌクレオシドとしても既に報告したウリジンを用いた。ポリグルタミン酸へのヌクレオシド導入はアミド結合により行った。ヌクレオシドの5'-水酸基をアミノ化し、これをグルタミン酸のgamma位に活性エステル法により導入した。得られたヌクレオシドのポリアミノ酸誘導体の高次構造をCDスペクトルにより検討し、ポリアミノ酸の種類やL-体D-体などの光学異性体による影響について検討した。この研究結果を配列を制御した核酸アナログの合成へのステップとし、その性質が明らかとなる基礎的研究であり、その成果はより幅広い応用に展開できると考えている。
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