太陽電池パネルのような柔軟体をもつ人工衛星モデルに対して、ロバスト制御手法(H∞制御、LTR法、周波数依存評価関数を用いるLQR法)を用いて制御系を設計し、その特徴や制御性能を計算機シミュレーションと実験により調べた。研究は次の手順で行った。 1.有限要素法により、実験に用いる人工衛星モデルのシステムパラメータを同定した。 2.同定結果をもとに姿勢制御系を設計し、その特徴や制御効果について調べた。特にH∞制御については、設計されたコントローラが過度に保守的になりやすいという問題点に注目し、ロバスト安定性を保ちしかも制御効果が高いコントローラの設計法を提案した。その結果の一部は、Asia-Pacific Vibration Conf.93および計測自動制御学会の講演会において発表した。 3.ディジタルコンピュータを用いてロバスト姿勢制御系を構成し、実験により制御効果を確認した。実験では、実際の大型人工衛星に採用されている姿勢制御方式と同じように、リアクションホイールによるゼロモーメンタム方式の姿勢制御系を構成した。この時、リアクションホイール駆動用モータの動特性と姿勢制御系との連成についても検討し、ロバスト制御手法を大型人工衛星の姿勢制御系の設計に適用する場合には、より一層のコントローラの低次元化が要求されることが要求されることがわかった。
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