本研究では、圧密にともなう泥質岩の浸透率変化を明らかにするために、一次元高圧圧密・透水試験器を用いて、泥質試料の圧密にともなう透水性変化の実測を行った。試料は、房総半島の上総層群黄和田層の泥岩・市販されているイライトが主成分の泥岩を粉砕したものおよび、市販のカオリナイト粉末を用いた。 求められた浸透率(K)と間隙率(phi)の関係は、間隙率の大きな領域では、土質工学の分野で一般的に使われているlogK-間隙比(e)の直線関係がほぼ成り立っている。ところで、今回の実験および過去に公表されている圧密実験データから、logK-logphiの関係は、間隙率の大きい領域からかなり小さな領域までよい直線関係を示すことが明らかになった。 このような結果は、自然のサンプルの今まで公表された結果とも間隙率が30%以上の領域では調和的である。しかし、より圧密が進んだ領域では、過去に公表された結果は、上記の関係を示していない。現在、より圧密が進んだ領域における透水特性変化を明らかにするために、transient pulse法を用いた浸透率・間隙率同時測定を行うための予備実験を始めたところである。 超長期圧密・流体移動シミュレータに関しては、炭化水素の生成・移動まで考慮した二次元二相の堆積盆シミュレータの開発を行った。このシミュレータを用いて、仮想的な堆積盆の発達史の計算を行った。その結果、このシミュレータでは、地質時間にわたる(およそ1500万年間)堆積盆発達史を、比較的高速に再現できることがわかった。また、その計算結果は、地質学的に妥当なものであることを確認した。現在は、このシミュレータを三次元に拡張することを行っており、また、侵食過程も考慮できるようにするために、更なるコーディングを行っている。
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