研究課題/領域番号 |
05760025
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
園芸・造園学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
金山 喜則 名古屋大学, 農学部, 助手 (10233868)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ニホンナシ / 果実 / 成熟 / 軟化 / 細胞壁 / beta-ガラクトシダーゼ / alpha-アラビノフラノシダーゼ |
研究概要 |
果実の肉質は食味や貯蔵性と深い関わりがあるため、果実の軟化機構を解明することは、生産および流通において重要である。果実の成熟にともなう軟化には細胞壁の構造変化が生じており、それには細胞壁分解酵素が関与している。本研究ではわが国の代表的果樹であり、細胞壁成分の変化等の報告のあるニホンナシを用い、軟化前後での細胞壁画分におけるグリコシダーゼ活性の変動を調べると共に、数種酵素の可溶化および精製を試みた。 成熟前と成熟時のニホンナシ果実から細胞壁画分を調製し、各種グリコシダーゼ活性を測定したところ、最も顕著に活性が上昇したのはalpha-アラビノフラノシダーゼ(alpha-Ara)であり、成熟期を通して最も活性が高かったのはbeta-ガラクトシダーゼ(beta-Gal)であった。すでにセイヨウナシおよびニホンナシでは果実の軟化にともなって細胞壁からアラビノースやガラクトースが遊離することが報告されている。そこで、これらの遊離に関与していると思われる両酵素に着目して可溶化を試みた。 alpha-Araに関しては通常用いられる塩による可溶化は有効ではなかったが、キレート剤によりかなりの活性を遊離させることに成功したため、今後精製を進めることが可能になった。一方beta-Galについては3Mの塩化リチウムにより高い可溶化率が得られたので、疎水クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィーを用いて精製を行った。この間beta-Galは5つの活性ピークに分離した。これらの活性ピークの内の1つが成熟時に顕著に上昇し、しかも軟化前のニホンナシより調製したペクチン画分からのガラクトースの遊離に寄与することが確認されたため、このbeta-Galが軟化と関わりがあることが示唆された。今後この知見をもとに、ニホンナシ果実の軟化におけるグリコシダーゼの役割が明らかになることが期待される。
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