(1)低濃度での栽培法の検討 ガラス室中でキュウリ苗をHoagland No.2液を基本培養液として、多量要素濃度を1、1/2、1/4、1/8、1/16とした液141で第3本葉展開期から2週間水耕栽培した。この間の生長量は培養液濃度によって大きくは異ならなかった。吸水量とEC低下の相対的大きさは培養液濃度によって異なった。低濃度区では培養液の緩衝能が著しく低下した。非制御のガラス室で幼植物の生長量を目安に比較を行なう場合は1/10液程度での栽培は容易と思われた。 (2)蒸散速度及び呼吸速度を用いた塩ストレス反応の動的評価 市販の安価な温度制御装置を用いてグロースチャンバーの自作を試みた。また、蒸散速度の重量法による連続測定のため、RS-232C出力を持った電子天秤を用いてパーソナルコンピューターで自動記録する系を構築した。また、米国キャンベル社製データロガーを用いて、呼吸測定系の制御と自動計測を行なう系を構築した。 (3)塩ストレスに及ぼす他の環境要因の検討 キュウリの塩ストレスに対する果実の生長反応の検討から、果実の著しい生長抑制と先細り果の発生に培養液の溶存酸素濃度が決定的に重要である可能性が示唆された。また、根の呼吸速度も塩ストレス反応の生理学的指標になりうると思われた。 これまでの所、低濃度での栽培実験や塩ストレス反応の評価に関する問題点がかなり整理されたが、品種間でのストレス反応の比較は未だ十分には行なえていない。そこで、更に検討を進めると共に、今年度の結果の一部を本年夏の国際園芸学会で発表する予定である。
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