cafA遺伝子の破壊株cafA::catを構築し、その細胞分裂や染色体分配に異常がないことを落射蛍光顕微鏡により確認した。cafA遺伝子と相互作用する因子を細胞分裂変異株の中から検索した。その結果、RNaseEの変異株ams1の温度感受性がcafAプラスミドによって部分的に回復されることを見い出した。また、ams1 cafA::catの二重変異株ではその温度感受性が増強されていた。これは、CafA蛋白質がRNaseE様の活性を持つことを示唆している。さらに、mukA変異株がcafAの過剰発現により死滅することを見い出した。同様な性質を示しmukAプラスミドによって部分的に回復するM21株を新たに分離した。 大腸菌の細胞周期におけるカルシウムの役割を明らかにするために、培地中のカルシウムに対して異常な反応を示す変異株を探索した。その結果、カルシウム感受性を示すCS2-29株、カルシウム依存性を示すSH3450株を分離した。CS2-29株のカルシウム感受性にかかわる変異を相補する遺伝子を、コスミドクローンを用いてクローン化した。クローン化した遺伝子をプローブとしてKoharaの大腸菌染色体整列クローンに対してハイブリダイゼーションを行うことによってマッピングした。同様に、SH3450株のカルシウム依存的増殖にかかわる遺伝子について、クローン化、マッピングを行なった。今後、得られた遺伝子の構造決定、遺伝子産物の同定を行なう予定である。さらにカルシウムに関する変異株を探索し、いくつかの候補株を得た。
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