研究概要 |
申請者は農産、食品廃棄物の資源化を促進させるための一手段として、キチン質を含む海産未利用資源を意識的に添加し、高速-高温発酵することで、高付加値発酵肥料を生産することを試みているが、その過程でエキソ型キチナーゼを菌体外に生産する高熱性細菌Bacillus atearothermophilus CH-4を分離した。本菌は極めて微弱なエンド型キチン分解活性しか示さなかった。本研究ではBacillus stearothermophius CH-4のエキソ型キチナーゼを精製単離しその諸性質を明らかにした。精製された本酵素は74kDaのモノマーペプチドであり、従来知られる常温菌の同種酵素のN末端アミノ酸配列との相同性は低かった。本酵素はn=2-6のアセチルキトオリゴ糖(Km=10^<-4>M)およびそれらのp-ニトロフェニル誘導体(Km=10^<-3>M)を非還元末端から加水分解すると共に、p-ニトロフェニル-beta-N-アセチルガラクトピラノシドにも作用した。(相対活性28%)ことより、beta-N-アセチルヘキソサミニダーゼの一種であることが明らかとなった。本酵素の至適pHは6.5、FeCl_2、ZnCl_2、CaCl_2、D-グルコサミン、およびD-ガラクトサミンの添加で活性化された。これに対し、HgCl_2,N-アセチルグルコサミンの添加は阻害的に作用した。本酵素の至適温度は75度であり、80度10分の熱処理によっても活性を完全に失わなかった。また、8Mの尿素処理後も活性を保持した。さらに本酵素は50%ジメチルスルホキシド、ブタノール、アセトニトリルなどの有機溶媒中でも水系における15-20%の活性を示した。
|