1.ロシアにおける経済的混乱から北洋材輸入は1986年以来減少を続け、92年には86年の2/3程度まで落ち込んだ。しかし、経済の自由化が進み国内需給構造が変化したことから93年には一転して増加した。 2.北洋材丸太製材はかつては全国的に行われていたが、ロシア側の供給体制がずさんであることもあって、多くの地域でロシア材離れが起こり、現在では、輸送距離が短く運賃が安い日本海沿岸を中心とした地域に縮小してきている。また、その消費も小割材に限定・定着した。 3.北洋材輸入には材質悪化・入荷量不安定という問題があり、これへの対応を迫られ加工・流通構造は変化してきている。まず、北洋材問屋では上記のような問題から問屋業務が成り立たなくなってきており、自ら製材業へ進出したり、ロシアの合弁会社への設立するなどの動きを示している。また、製材業では米材を導入したり、乾燥施設の導入、集成材など高次加工工場の建設、業務の多角化などを行う等の動きがみられている。 4.これまで、米加材に大きく押されてきたロシア材であったが、米国の環境保護運動による木材輸出力低下・材価の高騰により、ロシア材の見直しが進んでいる。一方、円高が進んだことから北欧材の輸入が開始され、ロシア材の新たな競争相手となっている。 5.合板産業において原料の広葉樹から針葉樹への転換が進んでおり、ロシア材が新たな原料として注目されている。米材・ニュージ-材が競合関係にある。 6.米材・熱帯材の供給制限から木材産業は原料の多様化を進めており、ロシア材の需要拡大が見込めるが、ロシアの供給体制が十分整備されていないことが大きなネックとなっている。
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