研究課題/領域番号 |
05760123
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川口 英之 京都大学, 農学部, 助手 (40202030)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 森林生態系 / リターフォール / 養分動態 / 土壌養分 / 立地環境 / 実生更新 / 個体群動態 / 空間的不均一さ |
研究概要 |
奈良県御蓋山と滋賀県田上山で林床へのリターの供給量と実生の更新の調査を行なった。御蓋山では、直線状に配列したリタートラップでの測量結果をもちいて、単木個体から林床に供給される落葉量の空間分布を定式化し、その分布式のパラメーターを個体の高さと樹冠の広がりによって説明した。このことにより、森林生態系の樹木の空間構造に対応した林床へのリター供給量の空間パターンが存在し、その予測がある程度可能であることを示した。滋賀県田上山のクロマツ造林地では、尾根から谷を含むように設けられた調査区内に、格子状に設置したリタートラップを用いてリターフォールの量と養分供給量を測定した。同時に林床のリターの蓄積量と更新している稚樹の分布を測定した。林床への落葉供給量は、地形によって差がなかったが、落葉の養分含量は、斜面の下部で高く、斜面の下部に向かうほど低くなる傾向がみられた。林床のリターの蓄積量は、斜面の下部から上部に向かうほど多くなり、斜面上部では養分含量の低い落葉の供給によりリターの分解が抑制されていると考えられた。調査区内を小枠に分け、小枠ごとの自然更新してきた実生の数を目的変数にとり、説明変数に、光条件、リターの蓄積量、母樹からの距離などをとって重回帰分析を行ない、種ごとの更新特性を解析した。稚樹の更新には、光条件、母樹条件の他に、小さい種子を持つ樹種では、リターの蓄積量が大きくかかわっていた。養分物質の少ないリターの供給が厚いリター層の発達を促進し、そのことが物理的障害となって実生の定着の障害となっていると考えられ、養分濃度の異なるリターの供給が、リター層の発達を通じて実生更新に影響を与えていることが示唆された。
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