研究概要 |
霧の発生を調べるために京都大学農学部附属演習林徳山試験地内の丘陵上のA、B(それぞれ標高300m,250m)の2地点(谷をはさんで約350m離れている)にインターバルタイマー機能付きのカメラを設置して、朝と夕方、2回/日の割合で定時観測を行った。A地点からは試験地の谷の入口から徳山の市街地および瀬戸内海の島が見通せ、海、市街地および丘陵地の、B地点からはA地点の尾根や試験地中心部の霧の発生状況が観測可能である。また、B地点では風速計・風向計を高さおよそ9mの支柱に設置し、樹冠上の風向・風速を観測した。集中観測は7月と1月に行った。1993年6月から1994年1月までの観測記録からは、徳山試験地の場合には6〜7月の霧の発生率は高い(60〜19%)が、秋には霧はあまり多くは発生せず、せいぜい月に1〜2度程度である。芦生演習林における観測結果と比較すると月別の霧の発生率は何も低いが、夕方(59〜0%)より朝の方(60〜7%)が発生率が高いという傾向は一致している。風向・風速データからは南・北風、微風の場合に濃い霧が発生するという傾向がみられるが、データの数が少ないため今後データを蓄積して行く必要がある。これまで述べてきた結果には冬から春にかけての瀬戸内海地方では最もよく霧が発生するとされている季節のデータが含まれていないが、現在観測は継続中であり、今年6月には年間の傾向がつかめ、瀬戸内の霧の発生パターンもはっきりすると思われる。昨年度採用した簡易酸性霧観測装置は集中観測時に不調で本年度の観測値は得られていないが、徳山試験地におけるレインゴ-ランドによる酸性雨観測結果では、初期降雨の酸性度はpH3.5〜6.0の値が多く観測されている。
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