画像処理により木材材面上に現れた節を自動識別するパーソナルコンピュータを用いた画像処理システムを構築し、画像入力から画像処理までに要する演算時間ならびに精度について検討した。 加工現場への導入が可能な低コストで省スペースの画像処理システムを構築するために、家庭用のビデオカメラ(ソニー(株)社製CCD-TR1000)をパーソナルコンピュータ(アップル(株)社製マッキントッシュIIVX)に接続した。ビデオ入力用インターフェースであるビデオデジタイザ(ラスターオプス(株)社製C/B24STV)により、このビデオカメラからヒノキの材面を256階調でパーソナルコンピョ-タにデジタル画像として入力できるようにした。 このようなシステムで、節を含むヒノキ板目面における節の自動識別実験を行い、画像入力から画像の2値化による節の識別までに要した時間を求めた。次に、これにより得られた2値化画像上の節と人間の視覚により識別した節の径について相関係数を求めた。また、岐阜大学情報処理センターの画像処理エキスパートシステムで、同様の実験を行い、これら二つのシステムの比較を行った。 そして、70×120(mm)の材面の場合、画像入力から画像の2値化までに要した時間は、パーソナルコンピュータ、エキスパートシステムとも40msec程度であった。パーソナルコンピュータ、エキスパートシステムで要した時間に差がなかったのは、エキスパートシステムの画像入力用のカメラがパーソナルコンピュータにより制御されていたため、最も時間の要する画像入力で差がなかったためと考えられる。また、人間の視覚により識別した節径との相関は、今回用いたヒノキに関しては、相関係数0.9以上と高かった。以上、このようなパーソナルコンピュータによる画像処理システムを用い、人間の視覚と同程度で節を識別できることがわかった。
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