研究概要 |
1.ウイルス検出のためのPCR法の開発 1)純化したSJNNV(シマアジ神経懐死症原因)からフェノール法で核酸を抽出し、構造蛋白質遺伝子(RNA2)をプラスミドベクターにクローニングして、長さ約1,400塩基のRNA2のうち1,289塩基の配列を決定した。2)この塩基配列を基にRNA2の一部の領域(426b)を特異的に増幅するためのPCR用プライマーを合成しPCRの条件設定を行った。3)設定した条件下でPCRを行った結果、SJNNV核酸からRNA2に相補的な長さ約430塩基対のDNAが増幅された。またシマアジ病魚から抽出した核酸を用いてPCRを行ったところ同様のDNAが増幅され、PCR法によるSJNNVの検出系が確立された。 2.PCR法による親魚からのウイルス検出 1)シマアジ産卵親魚の卵巣液あるいは精巣液をカニューレで採取し、遠心分離上清を材料として前述のPCR法によるウイルス検査を行った結果24尾中6尾からウイルスが検出された。2)これらの親魚群を用いて実験室レベルで産卵飼育試験を行ったところ、ウイルス陰性親魚から得た仔魚からウイルスは検出されなかったが、陽性親魚からの仔魚はふ化翌日からウイルス陽性となり、ふ化後6日目に全滅した。3)以上の結果から、垂直感染の防除法として、PCR法によるシマアジ産卵親魚選別の有効性が示唆された。4)一方、本法を用いて神経壊死症の発生が見られたときのキジハタ産卵親魚群(200尾)のウイルス検査を試みたが、ウイルス陽性親魚は見いだされなかった。従って、キジハタ神経壊死症の感染経路はシマアジとは異なっている可能性が示唆された。
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