研究課題/領域番号 |
05760155
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
神田 宏実 北里大学, 衛生学部, 助手 (80234160)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
900千円 (直接経費: 900千円)
1993年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 性決定・分化 / 初期発生 / 精子形成 / 卵巣成熟 / SRY / HMG box / 3.SRY遺伝子はY染色体に連関していることが示されているが、ニジマスゲノムのサザンブロット解析結果より、RTSOX-Te3、RTSOX-OvA、-OvB、-OvC遺伝子は雄、雌ともに存在し、Y染色体に連関しないことが示された。 / SOX / 以上の解析結果は、ニジマスでは、複数種のSRY様遺伝子産物が性決定・分化に関与していることを示唆するものであり、少なくとも、今回単離したニジマスのRTSOX-Te3、RTSOX-OvA、-OvB、-OvCcDNAクローンに対する遺伝子産物が精巣及び卵巣の分化・成熟に関与し、各々異なる機能を担っていことを示唆するものと考えられる。 / 転写調節因子 |
研究概要 |
我々は、魚類の性決定・分化の機構を解明することを目的として、ニジマスを用いてSRY様遺伝子の単離を開始した。本実験ではその第一歩として、未成熟ニジマス精巣で発現しているSRY様mRNA群のcDNAクローニングと解析を行ったのでその結果について報告する。 1.魚類の生殖器官で発現しているSRY様mRNA群を単離するため、未成熟ニジマスの精巣及び卵巣のcDNAを用いて、哺乳類のSRY遺伝子のDNA結合領域(HMG box)のアミノ酸配列に基づいてPCRを行ったところ、精巣のみ期待される約200塩基対のDNA断片が増幅された。更に、このDNA断片サブクローニングし、得られた22クローンについて塩基配列を決定した結果、7種のSRY様HMG box配列が明らかになった。(RTSOX-Te3、-Te16、-Te29、-Te32、-Te38、-Te43、-Te49)。7種のクローンのうちRTSOX-Te43のHMG boxのアミノ酸配列は、当研究室で既に未成熟ニジマス精巣より単離され、全構造が決定されているSRY様mRNAのcDNAクローンRTSOX-LZのHMG boxのアミノ酸配列と同一であった。 2.各クローンのHMG boxのアミノ酸配列を比較し、比較的相同性の低いRTSOX-Te3、-Te29及び-Te38についてmRNAの組織特異性を調べた結果、興味深いことにRTSOX-Te3は精巣で、-Te29及び-Te38は卵巣で強く発現していることが明らかになった。 (1).RTSOX-Te3について、未成熟ニジマス精巣のcDNAライブラリーをスクリーニングし、RTSOX-Te3を持つcDNAクローンを単離、全構造を決定することが出来た。RTSOX-Te3は、488アミノ酸からなり、マウスSryのHMG boxのアミノ酸配列と58%の相同性があるHMG boxが存在していた。更に、このHMG boxのアミノ酸配列はマウスSox8、9、10のそれと約90%以上の非常に高い相同性を有していた。 (2).RTSOX-Te29及び-Te38について、未成熟ニジマス卵巣のcDNAライブラリーよりRTSOX-Te29及び-Te38を持つcDNAクローンRTSOX-OvA及び-0vC、更に、RTSOX-Te29及び-Te38とは異なるRTSOX-OvBcDNAクローンを単離、全構造を決定した。 RTSOX-OvA、-OvB、-OvCcDNAクローンは各々289、367、633アミノ酸からなり、マウスSryのHMG boxのアミノ酸配列と68%、59%、52%の相同性があるHMG boxが存在していた。 更に、RTSOX-OvBに関しては、リンパ系細胞の転写活性化因子として単離・同定されたマウスSox4と、HMG box(91%のホモロジー)に加え、C末端部分(Sox4の転写活性化領域)でも高いホモロジー(46%)を有していた。また、RTSOX-OvCに関しては、転写調節因子に特有のロイシン・ジッパー・モチーフやグルタミンに富む配列が存在し、ニジマス精巣で特異的に発現しているRTSOX-LZと構造的に非常に類似していた。
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