市民農園の開設状況は、年々減少傾向にある。大阪府の場合、平成2年には601カ所、72haあったものが、平成5年には498カ所、58haにまで減少している。特に、市街化区域内では開設数で約23%の減少となっている。この減少の主な要因は、地価の高騰および生産緑地法の改正による他用途への転用のためであると推測される。 現状での市民農園の利用者は、中高年層および高齢者層が中心であるが、利用希望者では、20〜30歳代の比率も予測以上に高くなっている。都市住民の意向調査より、都市住民の市民農園を利用したいという意向が強いこと、そしてその大半は、利用経験は無いが機会があれば利用したいという潜在的なニーズであることが分かった。また、都市住民が市民農園に求めているものは、主に家庭菜園としての生鮮な農産物の供給であるが、同時に、緑地もしくは公園としてのレクリエーション的要素に対してもわずかながらニーズがあることが明らかになった。 農家の意向では、市民農園の開設に対して積極性が見られず、また、市民農園を単なる貸し農園としか考えない回答が多く、都市住民のニーズとのギャップが明らかになった。特に、利用料金に関して、農家の希望料金と現状の料金の間では大きな差があることが分かった。 市民農園の市街化区域内の緑地としての公益的機能は、社会的便益をもたらしていると考えられるが、料金設定を行っているので、一般の財と同じく、排除性を有している。ゆえに、非競合性・非排除性が大きい純公共財の評価法を用いるのではなく、その価格(料金)によって評価が可能である。しかし、現状では、その料金設定が適正であるとは言えず、そのため、利用料金を用いた市民農園の評価が出来なかった。 本研究の今後の課題は、市民農園の適正な利用料金水準の検討にある。
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