研究概要 |
1.多種燃料対応型ガス機関の試作と性能モデリング (1)農産廃棄物を嫌気性発酵して生成されたバイオガスを有効利用できるガス機関を試作した.横型水冷ディーゼル機関をベース機関として,ガス燃料を吸気管内に予混合できる供給装置を試作した.また,軽油噴射量,噴射時期を制御するために,本来の燃料である軽油噴射系に改造を施し,噴射時期可変タイマーを装備した列型噴射ポンプに交換した.以上の供試機関の改造によって,種々のガス燃料の使用に対して,軽油噴射量・噴射時期を任意に制御できる機関を構成した. (2)メタンガスを燃料として利用し,機関性能モデルを作成した.性能モデルはメタン供給量,機関負荷,軽油噴射時期の3変量に対する正味熱効率,煙濃度,軽油代替率などの状態空間によって記述されている. 2.嫌気性発酵によるバイオガス生成シミュレータの開発 本研究はバイオマスの時期的・空間的な変動に伴うガス組成の変化に対する機関の適応制御法を考案することが目的であるので,嫌気性発酵より得られた生成ガスをシミュレートできる装置を試作した.バイオガスの主組成がメタンと二酸化炭素であることに着目して,2種類のガス濃度と流量を計測・制御できるように工夫した.この装置は実際の発酵槽内のガス生成時系列データを正確に再現できるものである. 3.ガス機関のCMACによる適応制御法の考案 1で得られてガス機関の性能モデルに基づいて,CMACによる適応制御法を考案した.ガス発生量と組成の変化に対して,性能モデルを修正し,噴射時期を適切に自己調整してゆく機能を有している.今後,バイオガス発生シミュレータを動作させて,適応制御アルゴリズムの有効性を実験により検証する予定である.
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