本研究の主な目的である光の吸収・反射・透過モデルを用いたCGの研究が、93年8月米国で行われたSIGGRAPH93においてPrinceton大学のHanrahanらにより発表された。この研究では多重層構造における光の散乱と透過モデルにより、皮膚や葉のCGを高品質に実現しており、その基本的な考え方は研究代表者の発想と同質のものである。この事実は、本研究構想が世界的に先進的な領域に達していることを示してはいるが、既に先端研究レベルに遅れをとっている事を示してもいる。研究代表者はこの点をふまえ、研究目的に以下のような修正を加えた。まず、基本的なモデル作りを省略してHanrahanらの成果を修正を加えながら利用することにした。その際、植物の種類・群落を含む形状・生育に伴う細胞の変質という対象の拡張を行った。本研究の最終結論はまだ得られていないが、このモデルにより植物の光に対する反応を多くの範囲で説明できる感触を得ている。
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