研究概要 |
市販ヨ-グルトより分離したきょう膜形成乳酸球菌Streptococcus themophilus OR901を部分除タンパクホエー培地を用いて37℃で48時間培養した。菌体を遠心分離で除去した後、培養液からエタノール沈殿およびDEAE-Sephadex A-50イオン交換体の通過によって中性多糖を精製した。中性多糖はHPLCによるゲル濾過で分子量約900万と推定され、糖組成分析の結果、ガラクトース(Gal)とラムノース(Rha)を構成糖とすることが示された。メチル化分析の結果、2位置換Rha、非還元末端Gal、3,4位置換Rha、3位置換Galおよび6位置換Galの1:1:1:4:1の存在比が示され、本多糖における、Rha2およびGal6から成る8糖の繰り返し単位が示唆された。また本多糖を弱加水分解し、ペーパークロマトグラフィーに供したところ、6個の2〜4糖のスポットが観察された。ついでこれらのオリゴ糖を調製用ペーパークロマトグラフィーで分離し、最もスポット濃度の濃い成分をゲル濾過に供したところ、2〜4糖の3本のピークに分離した。このうち、2および3糖は構造解析の結果、以下のように構造決定された。;Gal beta1-6Gal,Gal beta1-6Gal beta1-3Rha。これは、同多糖における部分構成単位を表している。一方、同多糖を^1H-NMRに供した結果、8単位分のアノマープロトンのシグナルが観察された。これらのアノマープロトンはGal beta4,Gal beta6,Gal beta3,Gal beta3,GAl alpha3,Rha alpha3,およびRha alpha2またはGal alpha2によるものと推定され、シグナル強度の比較から、各々1,1,1,2または3,1または2,および1単位の存在比が示された。しかしながら、これらのシグナルの同定は確実ではなく、また多糖の完全構造を決定するには、部分酸加水分解により得られた他のオリゴ糖の構造決定が必要である。また同多糖は粘度測定の結果、粘性を有することが示された。
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