研究概要 |
Lactococcus lactis subsp.lactis biovar diacetylactis(L.diacetylactis)18-16およびNIAI N-7より,各種代謝機能欠損(ラクトース代謝能;Lac^-,タンパク質分解能;Prt^-,クエン酸代謝能;Cit^-)株を得て,それらを18-16由来のLac^-Prt^-Cit^+株(SY181),Lac^-Prt^-Cit^-株(SY184)およびNIAI N-7由来のLac^-Prt^-Cit^+(N7-16)とした.まず,エリスロマイシン耐性(Em^r)を有するベクターpIL253を用いてLactococcus lactis subsp.lactis NIAI 1061およびSY184の形質転換条件を検討した.受容菌の調製には0.75%のDL-スレオニン含有のRPMI1640液体培地を用いて培養し,6時間後に集菌した.その結果,NIAI1061においては,その形質転換頻度が非常に高く,10^5/mug(pIL253)レベルであったが,SY184については10^1/mug(pIL253)レベルであった.SY184の形質転換頻度がかなり低かったのは,その菌株作出の際,プラスミドDNAの複製阻害剤であるアクリジンオレンジによって処理した(それに対する耐性能を示した)ため,細胞壁などに何らかの変化が起こったことによるものと思われる. 次に,N7-16よりクエン酸透過酵素をコードしたプラスミドDNA(pN7CP)を抽出・精製し,pIL253と同様に制限酵素Xba Iで消化した。ライゲーションを行い,まずそれを用いて形質転換頻度が高かったNIAN1061を形質転換した.Em^r形質転換体を選択し,それらの保有するプラスミドDNAを抽出・精製し,Xba Iで消化したところ,pIL253とpN7CP由来のフラグメントが確認された.その構築プラスミドDNAを用いてSY184を形質転換したが,Em^r形質転換体を得るには至らなかった.その理由は,この菌株における形質転換頻度に問題があると思われ,今後その形質転換頻度の改善あるいは別のCit^-株の作出が必要である.
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