研究課題/領域番号 |
05760220
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
遠矢 幸伸 東京大学, 農学部, 助手 (20180119)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1993年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 猫カリキウイルス / モノクローナル抗体 / カプシド蛋白 / エピトープ / ウイルス中和 |
研究概要 |
猫カリキウイルス(FCV)は、猫の呼吸器疾患の重要な原因として知られている。FCVは単一血清型とされているが、多くの抗原変異株が存在しており、ワクチンの有効性を妨げる原因と考えられている。そこで、ワクチン改良の基礎データとして、FCVの抗原構造を遺伝子レベルで解析するため、中和モノクローナル抗体(MAb)に対する抵抗性変異株の遺伝子解析を行った。 9つの抗FCV・F4株中和MAbに対する抵抗性変異株10株について、その主要構造(カプシド)蛋白遺伝子のvariable領域をPCR法により約500塩基対のcDNAとして増幅し、クローニング後、塩基配列を決定した。変異によるアミノ酸残基の置換を検出し、以下の成績を得た。 1)linearな中和エピトープを認識している4つのMAbに対する変異株(5種)においては、variable領域の前半(アミノ酸426〜441)にアミノ酸残基の置換が認められた。その位置は、抵抗性変異株とMAbの中和試験における交差反応性並びにカプシド蛋白欠損発現系におけるMAb抗体の反応性とよく相関していた。 2)conformationalな中和エピト-ブを認識している5つのMAbに対する変異株(5種)においては、variable領域の後半(アミノ酸490〜520)にアミノ酸残基の置換が認められた。 以上の成績から、FCVのカプシド蛋白のvariable領域にはFCVの中和エピトープが多数存在し、その前半部はlinearな中和エピト-ブを形成し、後半部はconformationalな中和エピト-ブを形成していることが示唆された。FCVのconformationalな中和エピト-ブに関しては、現在まで我々の研究のみが知られており、その位置を遺伝子レベルで解明したことは、FCVの抗原構造を考察する上で重要な知見と考えられる。
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