本年度はすでに一部は雑誌、また学会において発表を行った後肢感覚神経-尾筋運動ニューロンへの経路を解剖組織学的に研究を行い、その結果経路が明らかとした。今回の研究課題にたいする実験は次の2つの実験により構成される。 1、Dorsal root ganglionに存在する後肢皮膚感覚神経刺激に反応を示す神経細胞体に微小電極を刺入し電流の通流を行いBiocytinの注入を行う。さらに尾髄(Ca2-3)にWGA-HRPをガラス管を用いて注入する。 2、第4-6脊髄に存在する後肢皮膚感覚神経より単シナプス性反応を示す介在ニューロンに微小電極を刺入し通流によりBiocytinを注入する。さらに尾筋(ECL)または尾筋神経にHRPを注入する。今回以上の実験を行い以下のことが明らかとなった。 1、後肢皮膚神経に反応を示す感覚神経が尾髄に神経軸索(axon)をのばす脊髄固有ニューロンにシナプスを形成している。 2、後肢皮膚神経から単シナプス性に入力を受けている介在ニューロンが尾筋運動ニューロンに単シナプス性、また多シナプス性シナプスを形成している。 以上の実験結果により後肢感覚神経の尾筋ニューロンへの経路がすでにおこなっている生理学的実験の結果を組織解剖学的にもほぼ明らかに示した。今後さらに電子顕微鏡を用いてシナプスの確認を行う。またさらに脊髄の部分切除法を用いてさらに後肢感覚入力の尾髄への経路の生理学的同定も行った。その結果後肢感覚入力の両側性経路の存在が明らかとなった。
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