研究概要 |
1.タバコ懸濁培養細胞株BY2に対する各種薬剤によるP450の誘導効果を検討した。BY2に、2,4-Dおよびクロロトルロンを添加した結果、P450含量は約1.5倍に誘導されることが明らかとなった。-方、酵素活性は、トランス珪皮酸水酸化活性と、7エトキシクマリン脱エチル化活性が約2倍に誘導された。 2.BY2からP450の精製を行った。BY2から超遠心法を用いて調整したミクロソーム画分を、エマルゲン911を用いて可溶化した後、DEAEイオン交換、ヒドロキシアパタイト、CMイオン交換クロマトグラフィーを用いてP450を精製した。SDSゲル電気泳動で解析した結果、精製酵素標品は、約55000の分子量を持つことが判明した。また、この精製酵素標品にラットのP450還元酵素を添加し、再構成系の実験を行った結果、この精製P450はトランス珪皮酸水酸化反応を触媒することが判った。 3.BY2からNADPH-P450還元酵素の精製を行った。BY2から超遠心法を用いて調整したミクロソーム画分を、エマルゲン911を用いて可溶化した後、Qセファーロス陰イオン交換、ADPセファロースアフィニティー、DEAE陰イオン交換クロマトグラフィーを用いてP450還元酵素を均一精製した。SDSゲル電気泳動で解析した結果、精製酵素標品は、約79000の分子量を持つことが判明した。さらに、この精製酵素標品に対する抗体を作成し、親植物のタバコの各組織中での発現量をウエスタンブロット法を用いて解析した結果、本精製構想標品は根、芽、葉のミクロソーム画分に発現していることが判明した。 4.P450還元酵素の部分アミノ酸配列を決定し、それをもとにDNAプローブを合成した。市販のcDNAライブラリーを用いてスクリーニングを検討した結果、6個の陽性のクローンを得た。現在、このクローンに対して検討を加えている。
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