研究概要 |
肝細胞小胞体膜に局在するチトクロームP-450(P-450)とその還元酵素の小胞体膜における存在様式を、これらの分子を組み込んだ人口脂質膜および実際の肝細胞小胞体膜を用いて明らかにすることを試みた。 1.小胞体膜をシミュレートするための、薬物代謝酵素を組み込んだ人口脂質膜を作製するためにラット肝細胞の小胞体膜1平方ミクロンあたりに組み込まれている薬物代謝酵素分子数を測定した。 (1)二波長顕微吸光測光法と電顕形態計測法を組合せて計測したラット肝細胞小胞体膜におけるP-450分子密度は約3,500(肝小葉周辺部)〜6,000分子(中心部)/平方ミクロンであった。 (2)画像解析装置を用いた定量免疫組織化学法を開発し、この方法と、以前開発したニトロセルロースモデルと顕微測光法とを組合せたP-450還元酵素含量の測定法を併用して測定したラット肝細胞小胞体膜におけるP-450還元酵素分子密度は約100(肝小葉周辺部)〜180分子(中心部)/平方ミクロンであった。 2.上記の実験結果をもとに、フェノバルビタールを投与したラットの肝から分離・精製したP-450IIB-1およびP-450還元酵素を人工脂質膜に組み込んで脂質膜標品(unilamellar proteoliposome)を得、分子を分光学的に解析したところ、組み込み密度を生体肝細胞よりやや高く設定した場合に良好な結果が得られた。 3.こうして作製した人工脂質膜を急速凍結・割断してレプリカを得、電顕観察した結果、膜露出領域の大きな薬物代謝酵素の会合体が形成されていることが判明した。この結果はいままで提唱されている多量体モデル説を支持するものである。しかしながら、in vivoの小胞体膜では、この会合体に相当する構造を観察することはできなかった。現在、この会合体の三次構造をエピトープ特異的抗体を作製して解析中である。
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