モルモットの単一心室筋細胞において、細胞外カルシウム(Ca)濃度をきわめて低く(<10nM)保てば、膜に残存しているgap junction hemichannelが開口するのではないかとの仮説を検証するために、パッチクランプ法を用いて電気生理学的検討を行った。すなわち、既知の膜電流を抑制するような条件下で、全細胞記録により全細胞膜コンダクタンス(Gm)を測定し、その性質を二連細胞でこれまでに報告されているgap junctionチヤネル電流と比較した。 1.Gmには時間依存性を認めた。 2.Gmはgap junctionチヤネルのuncouplerであるoctanolにより抑制された。 3.Gmの細胞外Ca濃度依存性は細胞外pHに大きく影響を受け、二連細胞のgap junctionチヤネル電流よりもCa感受性は低かった。Gmの細胞外pH依存性は報告されているgap junctionチヤネル電流のものとほとんど同様であった。 4.細胞内灌流法を用いてGmの細胞内Ca濃度依存性を調べると、細胞内Ca濃度上昇によりGmは10から30%減少した。すなわち、Gmのうち大部分はgap junctionチヤネルとは性質が異なる未知のコンダクタンスであることがわかった。 細胞外カルシウム(Ca)濃度をきわめて低く保つことで、細胞外Ca濃度依存性の未知のコンダクタンスを認めたが、そのすべてがgap junction hemichannelに関係したコンダクタンスであるとは考えれなかった。
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